伊藤ひであきの視察報告

愛メディアシティ−深川市 2002.07.04

 深川市は北海道のほぼ中央に位置し、石狩川が東西に貫流する石狩平野の北端、肥沃な土地と恵まれた自然条件を生かした農業を基幹産業とする人口27,000人、面積529kuの農業都市。「ほしのゆめ」や「きらら397」など良質・良食味米の産地であり北海道を代表する米どころである。

 この深川市が地域情報化に取り組んできた基本的な考えは、インターネットの爆発的な普及に代表される情報化社会における「まちづくり」を進めるためであり、深川市がかかえる問題解決の手段としても大きな役割を果たすものと位置づけされている。

 取組みの歩みは平成8年6月の「ふかがわマルチメディア推進協議会」が設立され、深川市の情報化の進む方向性を明らかにしようとしたことから始まる。
 翌、平成9年2月には「基本構想」を策定している。その中で「学習、教育」、「農業」、「福祉・健康・医療」の関係分野の情報化を先行的に進める必要があり、その利用を支える中核施設の必要性も不可欠である事、また実現に向けての推進主体と具体化にするための基本計画策定の必要性も示した。

 平成10年2月には、市民・企業・団体のアンケート調査やヒヤリング調査を行い、それらを基礎資料として「基本計画」を明らかにした。この中で「マルチメディアを通した、希望都市の実現に向けて」を基本コンセプトとし、活用内容と目標を短・中・長期的に整理し、中核施設の役割や機能を具体的に定めている。

 こうして、平成10年度に郵政省の自治体ネットワーク施設整備事業の補助を受け、地域情報化の中核施設として「深川市マルチメディアセンター」を既存の「生きがい文化センター」のなかに整備した。この「マルチメディアセンター」の主な機能は
・インターネットやデジタル情報の体験機能
・インターネット接続機能(ブロバイダー的な機能で、現在1500人が利用)
・FAX・電話による情報提供機能
・ノートパソコン15台によるインターネットやパソコンの研修機能。
・マルチメディア情報作成機能
・多地点テレビ会議システム
・小中学校とのネットワーク化を図り情報化教育に活用
などであり、平成11年2月に供用開始し、今日まで1万人以上が活用している。

 また高度情報社会の積極的な対応と地域の活性化を図るため、地域のネットワークセンターを光ファイバーで接続し、双方向画像伝送装置による行政相談及び地域情報の受発信を行っている。図書館情報センター、生涯学習センター、行政情報センターからそれぞれ最新で詳細な情報を提供している。

 もう一つの取り組みは、平成13年度からの3年間、国の電子自治体推進パイロット事業の協力団体として、浦安市、横須賀市などとともに全国9自治体の一つに加わって、汎用受付システムの実証試験に取り組んでいる事である。

 地域の情報化は、単なる流行や社会的な風潮に扇動されず、市民生活の利便性向上に実際に利用されてこそ価値が生じるものであり、それをどう進めるかがポイントである。

 深川市の情報化の取組みは始まったばかりであるが、そのプロセスやインフラ整備は本格的である。マルチメディアを通じて、情報化による機会の拡大−「であい」、情報化による地域の充実−「ふれあい」、情報化による市民サービス・農業・産業の高度化−「はぐくみあい」のステップを登ろうとしている。

 この歩みは確かな歩みである事が実感できた。


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