伊藤ひであきの地方からの提言


                       平成14年12月27日               
                焼却炉問題に関する公明党市議団の意見


 公明党豊橋市議団を代表し意見を申し上げる。

 豊橋は「530運動」発祥の地であり、市民の参画の下で先進的な廃棄物行政が行われてきた輝かしい歴史があります。今年度から稼動している豊橋の次世代型焼却炉(高温燃焼溶融炉)は公明党が進めるダイオキシン対策、ごみゼロ社会、循環型社会推進の具体的な廃棄物対策の象徴であります。

 また豊橋市議会は平成7年から続いた焼却炉検討論議の中で、真剣に調査学習し、真正面から取り組んでまいりました。その自負と誇りがありました。
 我々議員団はその中で「エコビレッジ構想」の提案も行い、今、そのプロジェクトが動き出そうとしています。
 我々議員団は焼却炉導入に関しては180億円にのぼる大プロジェクトであり、世界にも実証例はないことから、「万が一」の場合を想定し担保条件を厳格にし、導入に賛成いたしました。

 しかし、このプロジェクトの陰に三井造船による莫大な工作資金による受注工作が行われていたというニュースは事実だとすれば次世代型焼却炉に泥を塗る事であり、市議会の一員として激しい怒りを覚えるものであります。
 看過できないのは、6年前、市政始まって以来の不祥事で泥にまみれ、豊橋の再生のために始まったはずの早川市政の初期の段階でこのようなことが行われていたとするなら、断じて許すわけにはいきません。よって、市長並びに三井造船は真相を精査し議会と市民に公表すべき責務があると、12月18日に申し入れました。

 本日、この場で最初に申し上げたい事は
1.市長の発言にあったように「退職者も含めて関係職員の調査の結果、疑われるような事実はない」旨報告されました。庁内調査力がどこまで及ぶのかを考えれば、当然です。「私が受注工作の片棒を担ぎました」という職員があらわれるはずがありません。
 警察でも検察でも証拠を突きつけ、アリバイを崩し自供に追い込むのですから、庁内調査といっても限界があります。

 三井造船が豊橋へ来て行った市長と議会への報告もそうです。当然ながら、理論武装して来豊します。たまたま三井造船幹部の記者会見に出くわしましたが、実に整然と答えられます。

 それで、ことの発端は12月定例議会が閉会した12月16日夜、NHKから一方的に流されました。ご案内のとおりです。2日後の18日夜、「クローズアップ現代 追跡・3億円の受注工作資金」でも特集されました。
 NHKは「受注工作の舞台の一つに上げられた豊橋市」と言い切り、「当たり前にこのような事が行われていた」というならそれなりの明確な根拠があるはずです。NHKが根拠もなく言い切るはずがありません。

 
市長はNHKと連携して調査すべきです。考えを伺いたい。

2.その上で伺いたいのは、市長はNHK報道をどう見たかということです。
 元市会議員や代理店社長、元国会議員(国会議員は福岡1区選出の辻衆議院議員)の秘書、元三井造船社員などが音声を変えてでてくる。
 そして、工作資金の流れの中にでてくる領収書には豊橋市としか書いてない危うさがある。福岡市内の銀行に振り込まれたという。

 福岡が舞台なのか、豊橋が舞台なのかということです。

 何よりも97年9月本会議一般質問で私はこう申し上げた。「福岡の自治体が発注しているという。確かに発注している。八女西部広域事務組合。しかし、今、どうなっているか。三井の次世代型焼却炉の導入の中心的役割を果たした筑後市議会議長の怪文書が出回っていて、組合も議会もどうしたものかと困り果てているという。

 申し上げたいのは三井造船が八女で受注した97年ごろから、地元での反対運動が激化し、3月25日の九州の各新聞は「市議会議長 殴られる ごみ処理施設をめぐりトラブル続く」と報道しています、舞台は八女でないのかという事です。

 そして、何よりもNHK報道で怒りを覚えるのは97年9月に市議会が派遣した海外視察団のシーメンスプラント前での記念写真の全員の顔がぼやけて映した事です。
 八女は建築中、豊橋は検討中の状況の中で、「世界でただ1ヶ所実機のあるドイツ、フィルト市で調査研究するのは当然の責務である」はずです。当時、私は廃棄物処理調査特別委員会の副委員長を勤めさせていただいていましたので、委員の皆様とともに13項目に渡る調査事項を派遣団に託し、帰国後、回答を詳細にまとめていただき、特別委員会に報告いただいた経過があ ります。
 こうした当然といえば、当然の一生懸命の調査研究と議論が市議会で行われたと確信しています。にもかかわらず、ぼやけた写真で放映する真意はどこにあるのか。体を張って地方議会の中で生きている議員に人権は認められないのかと思います。
 さらに、大阪能勢町のダイオキシン騒動のときの議会の対応、ドイツプラントでのガス漏れ事故の議会論議をNHKは精査されたことがあるのだろうか、と残念でなりません。

 最近、一部マスコミによる報道被害、人権被害が取りざたされています。表現の自由、言論の自由は当然、尊重されなければならない。しかし、だからといって、名誉権、人格権が軽く扱われてもいいとはならない。何よりもメディア側の倫理観、自主規制が第一義であるはずです。

 530のまち−豊橋市が焼却炉導入を巡っての工作資金で再び地に落ちたというような報道が全国に発信されたことに市長は悔しくないのか、NHK報道に対する市長の思いを伺いたい。

 3.その上で、果たして豊橋でいわれるような裏金による受注工作が行われたのかという事です。地元有力者への受注工作の具体的な事例はあいまいです。代理店幹部は都内のホテルで札束を袋に入れて渡したという。元国会議員秘書が議員や支部長クラスと二晩、三晩かかって論議して同調を求め、議員に直接、現金を渡したケースもあるという。
 豊橋市議会の名誉にかけてこの黒い霧を晴らさなければ市民は絶対に納得しない。行政への信頼感も地に落ちる。
 よって、市長は全力で真相を解明すべきであり、それには限界があるならば、市議会は百条委員会を設置し、あのNHK報道に出てくる一人一人を関係人として出頭、及び証言、記録の提出をさせ、議会の調査権を最大限発揮すべきです。NHKも公共放送の責任において関係人の特定に協力すべきです。

 このことは、12月議会が終わってからの短期間に、議員団で市民の中を走り回り、三井のシステムが稼動している福岡県八女や、来年4月の稼動をめざす山梨県韮崎、北海道室蘭、江別、福岡県古賀の地方議員と連携を取り合い、情報交換してきた結論です。

4.様々な報道がある中で、廃棄物調査特別委員会の一員として3年間所属していた議員として、一番疑問に思うのは「突然、新型炉に転換」「市長の独断で型式変更」という表現でなされている報道であります。

 私のホームページでは市長と議会の動きを時系列でまとめていますが、96年11月の特別委員会では5形式をテーブルに載せ、年が明けて2月3日の各派代表者会ではストーカと熱分解の2形式にしぼり、2月28日の各派代表者会では「熱分解+灰溶融炉」と決め、3月1日からの予算議会に清掃施設整備事業費として発注仕様書作成委託など施設更新に関わる予算53,200千円があり、これを3月27日の議会最終日の本会議で議会が議決した。4ヶ月かけて形式をしぼり提案したのは市長、決めたのは議会です。

 さらに、間違えてはいけないのはその前に大事な事があった。平成8年10月に市長が辞職し、急遽、市長選が行われ、11月には早川市長に変わっているということ。急遽変わったのは炉の形式でなく、市長が変わったのでないのか。それで早川市長は最初から「熱分解+灰溶融炉」という次世代型に絞っていたのではないのかという点です。

 市長はなぜ次世代型焼却炉を導入しようとしたのでしょうか。「従来炉に溶融固化技術やダイオキシン対策をするよりも割安であり、それらをガス化と溶融の一体化で熱エネルギーを有効利用し、ダイオキシン類の発生は厚生省基準をクリアできる(最終的には更に十分の一の0.01ナノグラムに低減した)。リサイクルにも貢献する。よって、これからの焼却炉を導入しようとした 」と本会議や委員会で答えています。

 だから、私たち議員も頭をひねり高度テクノロジーを学び、本会議や、委員会、特別委員会で様々に論議したわけです。
 そして、その「熱分解+灰溶融炉」には3形式あって、回転キルン方式、流動床方式、シャフト方式の3形式がある。ところが当時、既に技術評価書を取得していたのは三井造船だけであった。96年4月22日付けで取得し国庫補助の対象となってい ます。

 他のメーカーがこの技術評価書を取得するには実験プラントを作り、そのプラントで春、夏、秋、冬の1年間のゴミを焼却し、データを取って申請しなければならない。そのために約2年半かかることから、結果として平成10年秋の発注には他のメーカーは間に合わない事になるから、「詐欺」発言まで飛び出した。

 ちなみにNKKは98年5月、荏原製作所は98年6月に実証試験を終え、98年7月21日付けで技術評価書を取得しましたが、それから構造指針外施設としての国庫補助を行う協議が必要であり、それには都道府県を経て国と協議しなければならず、半年はかかり、豊橋の入札、契約には間に合わなかった。
 私たちは炉形式の選択から三井のリサイクル21となり、随意契約に至った経過をこのようにまとめ整理しました。

 なぜ、時間的余裕がなかったかというと、平成14年12月1日からのダイオキシン規制のタイムリミットが決められているからで、更新を伸ばせば当事の炉のダイオキシン対策に約40億円かかるということと当事の炉が精密機能検査状況調査結果からも継続使用に赤信号が点灯し、特別委員会も「現施設の老朽化及び処理能力の状況を踏まえ、早期に更新をめざせ」と提言してきた経過もあります。

 市長の形式提案の経過にあらためて所感を伺いたい。

 以上、意見と質問事項を述べさせていただいたが、この焼却炉論議が本格的に始まった6年前からインターネット上にホームページを開設し、この焼却炉プロジェクトを経過に従って正確に発信してきた中で、全国から様々な意見や情報が寄せられて、大きな励みになりました。

 98年3月議会で紹介しましたが、「"すべての責任は俺たちにある、その代わり成功の栄誉も俺たちのものだ"の気概があれば成功するだろう」という言葉でした。
 530のまちの焼却炉に裏金ゼロの証明のために市長も議会も、もっと懸命にならなければならない事を確認して、公明党豊橋市議団の意見発表とします。

 


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