伊藤ひであきの市政報告

2002年11月 行財政改革調査特別委員会のポイント
**** 11/26  01:45 最終***

1.負担金、補助金について

 結果として、市単独補助金でも現状維持が8割、それらが低コストにより内容の充実を図りたいと考えているケースがあるとはいえ、現行どおりの「お役仕事」である。

 埼玉県宮代町(町単独補助金総額1億9800万円)では@団体運営費補助は原則禁止と事業費補助への切り替えA補助金効果の自己診断B審査機関の創設と内容の公開、研修会の開催などを4年前に打ち出し「宮代方式」として広く知られている。この自己診断というのは豊橋の場合、行政評価システムを最大限に活用するという事につながる。
 千葉県我孫子市(市単独分総額2億4千万円)では3年前に市単独補助事業を全て白紙にし、「公募制」にして、、第三者で構成する委員会(5人)が補助事業を決める仕組みに切り替えている。
 いづれも、既得権益を打破し、「行政の姿を変える」改革への第一歩を踏み出している。これくらいの思い切った対策でないと見直し作業とはいえないし、市民本位の行政ではない。考え方を聞きたい。

2.バランスシート、行政コスト計算書について

         H11  H12   H13
 有形固定資産 1,120  1,140  1,160
 資産合計   1,229  1,258  1,284
 正味資産合計 1,229  1,258  1,284
 現在では自治体のバランスシート導入が検討中も併せれば全体の90%にのぼる。今の時代のブームになっている。
 バランスシートは、従来示されてこなかったストック情報を開示する。つまり借金と資産である。資産は、自治体が将来にわたり住民に提供できるサービスの能力を示す。
 だから、バランスシートの次にすべきなのは、過剰債務解消に向けたコスト削減と、住民への説明責任をきちんと果たす事である。バランスシートは”目標”でなく、あくまでも”始まり”なのである。
 コスト H12年度 873億円 H13年度 894億円

@収入合計で13億円減少したなかで、コスト合計が22億円増加して、市民一人当たり資産は2.3万円づつ増加している。このことの関連をどう説明するか。

Aバランスシートは3年目、コスト計算は2年目。これらから豊橋の健全財政は伺えるが。この行財政運営の方向付けはどのように分析されているか。

3.決算事務事業評価について

 事務事業評価システムが導入されて3年目。この行政手法導入の目的は何か。1)市民の視点に立った目的・成果志向型の行政執行への転換。2)職員の意識改革、政策形成能力の向上 3)わかりやすく透明性の高い行政運営の実現 であった。
 一言で言えば、「市民満足度が一層高まる市役所運営をめざすものである」(H12年度行政評価システム報告書の冒頭の石原教授の言葉から引用)
 民間が取り組んできたQC手法でいう「次工程はお客様」という考えは、行政評価システムでは「次工程は市民の皆さん」ということでしょうか。

 ところが、最近になって豊橋競輪の閉鎖問題、杉山の最終処分場計画断念、来春のプロ野球公式戦の誘致失敗など市民に暗い話題を投げかけている。
 最近の市民意識調査でも「安全性」「利便性」「快適性」の満足を感じる市民が昨年に続いて低下し、この二年間で急激に減っていることが指摘されている。

@新しい行政評価手法が「市民満足度アップ」を目的としてその手段として、PDCAが回転しているとするならば、上気したような市政の根本を揺るがしかねない頓挫の結果はこうした手法が機能して道を拓いていかねばならないのに、機能していないことにならないか。

A市民満足度低下には様々な要素がかみ合う。何よりも時代の閉塞感、不安感そして長引くデフレ不況が影を落とす中では当然のことかもしれない。しかし、それらを吹き飛ばし笑顔でつなぐ基本構想の目的を達成するための導入手法であるなら、無関係とも言い切れない。現段階では、政策評価まで踏み込んでいないから、全く別のことであるのか。
 考え方を伺いたい。

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 行政評価は組織で使いこなすものであり、その答えは現場にしかなく、さらに答えは「無数」にある。むしろ、行政と市民がその議論のプロセスで形成されていくものであり、行政と市民が協働で創っていくもの、それを貫くには市民と共有しながら実行していく意思(Will)が最重要。これこそが行政評価システムに息を吹き込むことができる。
 「何のための行政評価システムか」を忘れ、「行政評価システムのための行政評価システム」となり、Plan、Doをあいまいにして、See(指標化・数値化)が中心になってくると陥る大きな落とし穴にはまっていないか
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4.PFI基本指針について

 「自治体による安易なPFIの導入は疑問がある」これが私のPFIに対する自論である。資料の前段にもあるが、そもそもPFIは80年代、90年代にイギリスで抜本的な行政システム改革がなされ、それまでの行政という概念を変えるほど抜本的な改革を行ったうえでのPFIである。

 その制度だけを、国も地方も行政改革が中途半端な日本で、まして地方自治体が導入するにはあまりにも危険があると考えるからである。

@その上で、PFI推進の基本的な5項目は、そっくりそのまま地方自治体が創意工夫を凝らし、低コストでやり切れる事こそ行政改革であり、行政評価手法の導入目的であり、具体的実践ではないのか。行政経営が「役所仕事」でなく、柔軟性と創造性を持って取り組むべき目標とする事業体がPFI機能ではないのか。

APFI導入の意義は1)質の高い公共サービスの提供 2)行財政のスリム化 3)民間企業の事業の拡大であると考える。
 この基本方針作成に当って、モデル事業候補の選定まで行っているが、豊橋版PFIの可能性をどう判断しているか。


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