伊藤ひであきの視察報告

高松の保健行政 01・10・03
 四国の行政、経済、交通、文化などの中心地高松市。瀬戸大橋の完成、新高松空港の開港、四国横断自動車道の高松市への延伸など高松市を取り巻く環境が大きく変化し、瀬戸内海3橋時代を迎え、次の時代に大きくはばたこうとしている様は、新装なった高松駅や、総事業費1000億円を越えると言うサンポート高松をはじめとする都市再開発事業への建設の槌音で感じられる。
 人口33万人、香川県の県庁所在地であり平成11年4月、豊橋と同時に移行した中核市である。

 中核市の条件の中でも特徴的なのは時前の保健所を持ち、県行政から独立した保健行政の実施である。その拠点が栗林公園近くに真新しくそびえる高松市保健所であり、隣接する高松市保健センターである。いうまでもなく市民の健康づくりの拠点である。

 新保健所は今年の8月6日から、業務を開始している。健康危機管理への対応をはじめ、最新検査機器を使った科学的根拠に基づく保健・健康施策の推進など、地域住民の健康を守る視点から保健所機能の強化充実が求められ、中核市移行を契機に2年前に建設に着手し、オープンにこぎつけている。5階建、施設整備費約22億円。

 より高度なサービスや、身近で親しみやすく安心できるサービスが提供できる保健所をめざして、様々に配慮してあるが、特に「こころの健康相談」については精神保健福祉相談員を配置し、保健婦、精神科医師による個別相談をプライバシーに配慮して行っている。また、赤痢やO157などの感染症、結核予防への対応にも力を入れている。

 道路を挟んで、高松市保健センターがある。平成6年7月の開館である。地上6階、総事業費は約38億円。当然、お年寄りや子どもづれの利用が多いことから、安全であること、明るくゆとりがあること、市民にわかりやすい動線であることなどを基本に設計してある。
 母子保健事業、老人保健事業、健康づくり事業の様々なメニューを市民に密着した対人保健サービスが木目細かく対応できるように配慮し、展示コーナーや図書コーナーなどは市民誰でもわかりやすいよう、ビジュアル対応しており、自主学習の場でもある。
 高松市医師会に運営委託した夜間急病診療所も併設されており、内科、小児科で日平均35人前後が利用している。
 この二つの施設で、一体的、総合的サービスが提供できる体制が確立された。

 昨日の「福山すこやかセンター」そして、この高松市保健所、保健センターと立て続けに視察したのは、豊橋市も古くなった豊橋市保健所(中核市移行と同時に県から移管)を国立病院の併合による(平成17年以降)跡地に移転・新築し、保健センターと長年の課題である療育センターも併設し、総合保健ゾーンを作ろうとしているからである。

 二日間で最も感ずるのは、福山にしても、高松にしても、相当な費用がかけてあることであり、これからの保健福祉事業と費用効果とをどのような形でバランスを取るのか、なかなか難しいという事である。福山、高松は豊な財政力が背後にあるのか、あるいは計画が右肩上がりの経済動向の中から具体化されてきたからか、想像以上に施設のグレードは高い。

 「阿波踊り」は見るものでなく、一緒に踊るものであり、そのための「場」「舞台」が整えられてきて、伝統が大きく花開いてきたという。そこに「阿波踊り」の真髄があるという。
 保健行政もまた、提供できる拠点があって、市民一人一人への健康を守るための機能充実が求められていることは事実であるが、その拠点のあり方は議論が分かれるところである。


ホームページに戻る 視察報告メニュー