伊藤ひであきの視察報告

宮崎の「総合保健福祉センター」 01・11・13
 鹿児島から「きりしま6号」で2時間。平坦に広がる宮崎平野、大淀川の悠久の流れに包まれた観光都市宮崎市は人口30万5000人、面積287ku。

 その宮崎市の中心地から南西へ5km、高台の丘陵地に福祉文化公園が広がる。総合保健福祉センターと図書館、そして文化ホールが配置されていて、ふれあいの森を形づけている。市政70周年記念事業として、旧自治省の地域づくり推進事業債により事業費の75%を受けて建設したもの。

 その中核施設である総合福祉保健センターは、平成13年度の開館、総事業費は土地代を除いて22億円。障害者、高齢者などの市民の福祉の増進をはじめ福祉活動の推進や疾病予防及び健康保持・増進などの事業を行うなど、文字どおり市民の生きがいを高め、安心して暮らせる市民福祉の拠点である。

 障害者用の機能訓練室やプール、浴室。高齢者用のヘルストロンコーナー、浴室と談話室。障害者ディサービス事業・障害児通園事業。1歳半、3歳児健診などの健康相談室や保健指導。おもちゃライブラリーや介護用品展示コーナー。福祉作業所が運営している喫茶室などが機能的に配置されていて、様々なニーズに応えようとしている。

 運営は宮崎市社会福祉協議会へ管理委託されていて、年間運営費は約8000万円。

 この宮崎市は「九州一の福祉都市」をめざしているという。その気概がこの建物の中にはあふれている。それは鉄筋コンクリート造り2階建てのハード面だけでなく、そこで取り組まれている様々なプログラムとそこに関わる75名の職員、そして、出入りする障害者や高齢者、乳児を連れてやってくる若いお母さん達の笑顔でも象徴されていた。

 「ただ、例えば障害児の療育指導、障害者の機能訓練指導といってもメディカルな面からいえば中途半端ですから、医療とどう連携を取っていくかがこれからの課題です」と吉野館長。

 宮崎市の高齢化率(全人口に占める65歳以上の比率)は15.8(昨日訪問した鹿児島市は16.4)と高い。もっとも宮崎県のそれは20%を越えているという。高い高齢化率にすでに九州では高齢化社会に突入しており、課題を内包しながらも、様々な施策が地域と市民の中に根づいていることを認識させられた。

 その上での、総合保健福祉センターである。豊橋市では桜ヶ岡病院跡地に総合福祉センターが具体化されようとしているし、国立病院跡地に保健センターが計画されている。一つ一つの福祉施設のあり方が検討されているが、宮崎の総合保健福祉センターに学ぶべき点、示唆されるポイントは多かった。

 視察に際し、総合保健福祉センターの吉野館長を始め、館内の現場の皆さんに大変にお世話になりました。多忙な中で丁寧な対応ありがとうございました。


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