伊藤ひであきの視察報告

● 渋谷の屋根付き公園−都児童会館 ● 2001.05.29

 昭和34年皇太子殿下(現今上天皇)ご成婚記念事業として企画され、昭和39年に完成した東京都児童会館。渋谷の駅から徒歩5分の交通至便の地にある、こどものための夢ランドである。

 とにかく想像以上に、つくる、あそぶ、学ぶ、聞く、ふれあう・・・子ども天国である。本館だけでも毎年、55万人が訪れ、本館に隣接する子どもホール(定員760人)の入場者6万人を合わせれば60万人が入館するのは、隣接各県も含めた人口集中地域というだけでなく、ユニークなプログラムとその運営方式にあるようだ。

 各広場では、毎日のメニューの他にも様々な集いややイベントなどを行い多くの子どもたち・親たちの参加を得ている。2階ののびのびひろばの「アスレチックコーナー」や3階のわくわくひろばの大型遊具「人体迷路」、4階音楽のひろばの「音楽スタジオ」は特に中高生の変わらぬ人気を博している。
 屋上には一輪車やローラースケート、竹馬などが用意され、自由に遊べる。5階の図書と情報の広場では図書コーナーや情報コーナー、読み聞かせコーナーなどユニークな書架の配置や絵本などの配置も子どもの視点に立って工夫されているのがよく解る。
 4階の造形コーナーや3階の科学工作コーナー、紙工作コーナー、地下1階の木工作コーナーなどは材料から、用具、指導員まで用意されていて、視察に行った自分たちまでが一日中でも各工作にいそしみたいと思うくらいである。何よりも常時行われているのがいい。
 関連したイベントも多彩で、最大の行事である「東京子ども大会」、日曜子ども劇場をはじめ夏休み児童 演劇フェスティバル、渋谷スタンプラリー、秋のヤング・サウンド・フェスティバルなど多彩。多くの人が楽しんでいるという。

 子育て支援に関する事業としては、「楽しい子育て教室」「講座こども」を多様なテーマで開催し、託児 サービスと合わせ好評だという。丁度、訪問した午前中にはわくわくひろばのイベントがあり、育児真っ盛 りの親子が参加する「ひよこタイム」が行われていた。教育テレビで見る「お姉さんと一緒」的な乗りで20組近くの親子が楽しい一時を過ごしていた。
 また、こども相談室には育児をはじめとして児童虐待、いじめ、不登校、家族関係など多くの多様な相談 が寄せられていて、個室で自由に相談できるようになっている。

 この児童館のこうしたプログラムは委託した民間会社のノウハウが各コーナーに反映されていて、そこで働く若い女性達の研究熱心さが支えている。また事業実施に当たってそれを支えるボランティアの参加も見逃せない。

 都市化の進展などにより、子どもたちの遊びをめぐる環境はますます厳しくなっている。また家庭や地域 の子育て機能の低下など子育てを取り巻く環境も大きく変化してきている。学校5日制も本格化されようと してる折り、くつろぎの「居場所」が今以上にも求められている。
 渋谷の都児童会館は、遊びの場の提供、優れた児童文化の発信、子育て支援機能などを複合した文字どおり「屋根つき公園」である。

 豊橋駅近くの市民病院跡地の利用策として「子ども関連施設」が検討されていて、具体的イメージを膨らませるために視察調査に訪問したが、視察を終え、外に出ると深い緑に包まれたこの建物が、建物は古いが子どもパラダイスに思えてならなかった。

 視察に際し東京都福祉局子ども家庭部児童会館 長島建一館長や千葉一夫課長補佐を始め、明るく働くスタッフの皆様に大変お世話になりました。ありがとうございました。

 東京都児童館ホームページ http://www.jidokaikan.metro.tokyo.jp


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