伊藤ひであきの地方からの提言


ITは政治をどう変えるか 2001.2.6

 21世紀開幕の日本の政治はKSD(中小企業経営者福祉事業団)問題や、外務省幹部による機密費流用疑惑によって幕を開けました。世紀が変わっても、相変わらずのカネまみれの日本の政治の実態が次々と明るみになってきています。

 そうした中で日本社会のIT革命は急速に進展しています。昨年のパソコン出荷実績は1155万台、金額にしても2兆円を越え過去最高を記録しています。携帯電話は国民の半数が保有したことになり、iモード加入者はうなぎ上りです。郵政省の推計ではネット利用者は4年後には国民の5割に到達するだろうとしています。

 かってフランス革命でグーテンベルグの印刷術の発明が大きく貢献し、近代への道を開き、産業革命が蒸気機関を始めとする技術革新により加速度的に進展し、経済社会に大変動をもたらしました。そして、今、IT(情報技術)革命はまちがいなく日本社会や市場経済を激変させようとしています。

 ITにより社会の何が大きく変わろうとしているのか。市場経済で何が起きているのか。

 何よりもITにより普通の生活者が、時間やコストをかけずに容易に情報を入手できる時代が到来しています。このことにより情報弱者だった人々が情報の主導権を握り始めたということです。
 また、今までは有力者や有名人、有識者でないと自分の意見を発信できなかった。たとえ、無名の市民が発信できたとしても、新聞の投稿記事や手作り新聞など限られた地域の限られた方法でしかありませんでした。
 ところが今やインターネットによって、誰でもその気になれば、一瞬にして日本中、世界中に自分の意見を知らしめる事を可能にしました。 しかも、それが共感を呼ぶメッセージであれば、次々と社会や市場に広がっていく。つまり、「声なき声の民」だった市民は、今や「声の大きな民」になりつつあるという事です。
 さらに、ITによって国民が受発信できる情報の中味、質が変わってきたということです。特にインターネットの検索機能で専門家の高度な「知識」を実にたやすく共有できるようになりました。

 こうした社会や市場で起きている事はやがて政治を大きく変えていくに違いありません。

 逆に、政治や行政が「お上意識」から抜け出せず「寄らしめるべからず、知らしめるべからず」と市民、国民から離れ、既得権益の上にあぐらをかいて、安穏としていると、住民の心をつかむ事ができなくなるどころか、住民から途方もなく見放されていくに違いない。そこでは住民は一有権者にとどまらない、一納税者にとどまらない。昨年秋の「加藤政局」や「長野知事選」で直接反応した事実は記憶に新しい。

 IT革命がもたらしているものは単に効率化や合理化、コストの削減などというものだけではない。情報主権のパワーシフト(権力の移行)が起こりつつあると言う事を覚悟しなければならない。そうしたプレッシャーが有形・無形に、行政と政治の中へ直接、押し寄せている。この影響力は強まりこそすれ、弱まる事はない。

 5年前からホームページを開き、地方政治と行政の中を真っ正面から走ってきた実感である。


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