●「平和の世紀」へ「愚者の行進」に歯止めを(早稲田大学教授 山本 武彦 「公明新聞」元旦号より抜粋)
20世紀は誰しもが認めるように「戦争の世紀」であった。この百年に戦争で失われた人命は、19世紀までの1900年間の戦争で失われた人命の数を上回っているという。
今日から始まる新世紀において「愚者の行進」(バーバラ・タックマン=アメリカ歴史学者)をじんるいはまだ続けるのだろうか。
新世紀が「戦争の世紀」から「平和の世紀」へと変わるには「愚者の行進」に歯止めをかけるシステム作りに国々が力を結集する事が、何よりも強く求められる。
20世紀後半の日本外交は、肝心なところで態度を常に曖昧にするウェットな外交で彩られてきた。このような伝統的な外交姿勢を転換し、「愚者の行進」を再現させないための自律的な外交をどれだけ展開できるか。我が国に課せられた責任は重い。
●「着実に明るさを増していく日本経済(エコノミスト 紺谷 典子 「公明新聞」元旦号より抜粋)
日本経済は歩みは遅くても着実によくなっています。恐慌の一歩手前まで悪化した大不況が普通の不況に戻っただけですから、実感がないとお思いでしょうが、日本初の経済恐慌が危惧された1998年に比べたら大きな改善です。
それでも気持ちが明るくならないのは日米の株価の下落が影を落としています。株価下落の大部分は平均株価の計算方法が変わったためです。従来の方式で計算すると、実は今でも1万8千円を維持しているのです。それでも昨年のはじめは2万円だった訳ですから、下落は下落です。
その大きな要因は米国の株価下落です。特にナスダック市場はすでに高値の半分の水準に暴落して、ITバブルが生まれ破裂しています。米国経済は減速し始めています。米国経済が減速しても、失速さえしなければ、日本の内需拡大が輸出減少を補いますから、景気の回復は進むはずです。
ただし、忘れてはいけないのは「構造改革」を決して急いではいけないという事です。日本経済は病み上がりですから、はっきり健康を取り戻すまでは、体質改善のジョッキングのダイエットもしてはいけないのです。本格回復までもう少しの辛抱です。