伊藤ひであきの現場報告 豊橋の鳥インフルH
沸騰する現場の怒りと焦燥 (3/30)

●市議会の陳情に、知事も真剣

 3月27日午後1時、豊橋市議会大沢議長は各派代表とともに愛知県庁・知事公舎を訪れ神田知事に4項目に渡る要望活動を行った。  @防疫対策の見直しを国に働きかけるA家きん農家に対する支援を強化するB風評被害等の防止に向けた指導を徹底するC発生に伴い、豊橋市が実施した諸対策の経費の財政措置の4項目。

 知事からは「元気なウズラの処分に戸惑いがあることは分かっている。ニワトリとの違いもはっきりさせる必要がある。一日も早く終息させる事が必要だ」と前向きな姿勢を示した。

 この事を、視察先の大垣市から福井市へ移動中の特急「しらさぎ」の車中で、議会事務局からの連絡で知った。視察先の大垣市でも福井市でも「豊橋のうずら」を持参し、PRに努めた。

●新たに3戸38万羽、遂に豊橋ウズラの6割

 農林水産省と県は3月29日、新たに市内の農家3戸で高病原性のH7型の感染歴が確認されたと発表。3戸のウズラ計38万羽は「家畜伝染病予防法」に従って直ちに殺処分されることになったと発表。すでに処分された124万羽とあわせ、豊橋のウズラの6割近い計162万羽が処分される事になる。

 うららかな春の陽気と高速道路千円が始まったので娘夫婦と出かけたのは農事組合法人「伊賀の里 モクモク手作りファーム」。年間売上高は42億円、従来は作るだけだった農業を加工し、体験・参加型のサービス産業へも拡大し、客単価が全国ベストテン入りしている複合型農園。正社員120人の平均年齢は30歳。若者を呼び込む新しい農業の形を垣間見て楽しい気持ちで帰ってきたが、予想されたとはいえ再び鳥インフル拡大のニュースにガックリ。

●国会議員、怒りと焦燥の現場へ

 3月30日朝9時半過ぎ、豊橋市役所の市長室を表敬訪問しているのは衆議院議員(東海ブロック)伊藤 渉氏。39歳の若さながら折り目正しい誠実な人柄と、メリハリの利く話し方で評判の若手議員である。先週末,新年度予算が決まり、鳥インフルの現場へ。

 直ちに向かったのは2例目の発症農場。第三者が農場内へ立ち入る事はできないので、社長を始め従業員の皆さんと農場の前の道路で様々な現実についてお聞きした。ウズラ20万羽はすでに埋却処分され鶉舎のなかには一匹のウズラも一個の卵もない。周辺は消毒粉で真っ白。新しいウズラを搬入する事もできず、従業員は交代で出勤し、洗浄や消毒する作業ばかりで疲れがありありとうかがい知れる。

 午後からお邪魔したのは前日発表になった3件の農場のウズラを集約し、商品化して全国へ出荷している豊橋を代表するウズラ産業の会社。

 「どうして国は、殺処分を繰り返し、ウズラの事や、ウズラとともに生きてきた現場の声を取り入れてくれないのか!」。

 「19歳の時に銀行で金を借り、20歳でウズラを初めて36年。女房よりウズラとの付き合いの方が長い。愛情込めてウズラを育て、ウズラを研究してきた。それだけに殺処分の腹を固めたが、気持ちの整理はついていない」と体を震わせられる。そこにはウズラとともに生きてきた人生がある。

 また「国が法律を前面に殺処分を繰り返しているが、現在の研究チームが出した結論で、このような対策が間違っていたとなったら、ワシは断じて国を相手取り『ウズラを農場を人生を、元に戻せ』と裁判を起こす」とまで怒りをあらわにする。

 「国会議員や市会議員がここまできて俺たちの話を聞いてくれた」との安堵の声以上に、厳しい現実に、「私たちもしっかりと頑張りますから、負けずに頑張ってください!」としか声がでなかった。

 いよいよ明日は農水大臣などの下に議長、議会事務局長、農政課の担当者と上京。夕方、太田代表から電話、「結局、この問題はどうすればいいのだ!」

 以上、現場からの第9報です。 以下に参考資料