伊藤ひであきの現場報告 豊橋の鳥インフルF
原因不明のまま焼却処分へ (3/22)

●予算委員会での質疑から

 3月16日、新年度予算を審議する予算特別委員会、第6款農林水産事業費5目畜産業費、家畜防疫促進事業費において、ウズラの鳥インフルの質疑は二人の議員からなされた。

 所管の農政課は「今回高病原性鳥インフル円座が発生した農場は養鶉農家のリーダーとして設備、管理において、可能な限りの対策に人一倍努力してきた農家である」、また「今回の発生を教訓としてウズラ独自の防疫強化の対策を確立するよう国・県に要望している」、「豊橋のウズラ産業を守るという姿勢を基本とし、国・県の補償の要請、本市としての地域ならではのきめ細かな支援を実施していく」と答えた。

●遂に第4例、国内最大のウズラ農場

 3月18日、農水省は検査では高病原性鳥インフルエンザウイルスは検出されなかったものの再検査で感染歴が確認された農場のウズラについて、抗体検査を行った結果、過去の感染歴がH7型と判明した。
 よって国と県は直ちに「高病原性鳥インフルエンザ防疫指針」に従い農場主に自主的に全羽の殺処分をするか、または厳しい経過監視をともなう農場監視プログラムのどちらかを選ぶよう農場主に判断を求めた。

 この農場は飼育羽数67万羽の国内最大規模の農場。「自分の農場だけのことを考えれば殺処分しなくてもいい、また卵の出荷ができる監視プログラムの方が経済面からもよいかも知れない。しかし、ウズラ業界全体のことを考え、一刻も早く業界の信頼を取り戻す必要があった」と苦渋の判断で殺処分とした。

●やっとウズラの専門家が究明チームに

 農水省が設置した感染経路究明チーム(座長=伊藤壽啓鳥取大教授)は19日、第2発生農場で感染経路推定のための調査を行い、引き続き第2回検討会を開いた。
 伊藤教授は「現場の防疫態勢を第1発生現場に劣らず、しっかりしている」と述べた上で、「今後は動物実験でウイルスの増殖力、伝播力など研究し、早期の解明につなげたい」とした。

 今回、特徴的なのは、新たにウズラの生態に詳しい佐藤勝紀岡山大学教授が加えられたことである。第1回検討会では、ウズラの生態に詳しい委員のいないことが議題にのぼり、ウズラ農家からも批判の声があがった。
 何せ、チームの一員の中には豊橋へ来て「初めてウズラ飼育の実態を見ることができました」という発言があってウズラ農家のひんしゅくをかった。それほどにウズラの鳥インフルは初めてということか。

●豊橋のウズラの4割近くが殺処分、遠い再建の道筋

 折りからの3月議会開会中の18日昼に各派代表者が召集され、鳥インフルの状況について副市長から説明があった。「3件目のウズラ11万羽の殺処分は8割方進んでいるが、今までの状況が違うのは埋却処分する土地が確保できない事。
 よって県からは市の資源化センターの焼却炉を使った焼却処分の申し出があり、直ちに検討しているが、当然、周辺関係13町内の了解を取らなければならないので、今夜にも地元説明会を開かせていただきたい」と。

 結局、20日までに13町とも了解を得られ、第3発生農場で殺処分したウズラ約11万羽をはじめ、第4発生農場のウズラ約67万羽、廃棄処分する卵やエサなども焼却処分すると発表した。

 県によると、法のマニュアルに従い、処分したウズラはポリ袋に収めた後、さらに感染性の廃棄物専用につくられた容器に収め、消毒後に車に積み込む。車は密閉型のバン型トラックを使用。家畜防疫員が指定したルートを通って運び、到着後は焼却炉に投入するまで家畜防疫員が同行する。

 16日からは市職員労組の「頑張れ!豊橋のウズラ」を合言葉に市役所職員中心にウズラの生卵や燻製の販売が始まった。17日の昼に40箱を購入した。18日の党員会用に。



 これで、殺処分されるウズラは160万羽、豊橋で飼育されているウズラの4割近くになる。まもなく発生から一ヶ月、ウズラの流通は1/3ぐらいまで落ち込んだまま。
 「県や国は一刻も早く、感染の全容解明を進め、農家が安心して経営再建できる道筋をつけてほしい」との農家のストレスは頂点に達している。市民からも、「安全だといっている卵まで何故、焼却するのか」という声も強い。

 以上、現場からの第7報です。