伊藤ひであきの現場報告 豊橋の鳥インフルE
農水省へ、農家の思いは届くのか! (3/15)

●市長、上京。有史以来の重大局面

 豊橋の鳥インフルエンザが拡大するばかりで、その感染経路も不明のまま殺処分、埋却が繰り返されている問題で13日午後、神田愛知県知事と佐原豊橋市長が石破茂農水相へ陳情に急きょ上京した。

 県議会では知事は本会議への出席のみが義務付けられているという事だが、豊橋市長は開催中の予算特別委員会の出席要求のもとでの状況であった。「百年に一度どころか、豊橋の農業始まって以来の重大な局面」ということで、委員会を欠席しての陳情活動を認めた。

●保障措置、財政処置の拡充を

 午後3時からの約15分間の石破農水大臣への要請活動で、国に善処を迫った内容は以下。
 「愛知県の家きんは県の重要産業品目。特にウズラは全国シェアの7割を占めている。今回の高病原性鳥インフルエンザの発生では症状が出ていないウズラも殺処分されることになり、関係農家はやり場のない怒りを抱いている」として、
 @現在の国の防疫指針は鶏が前提。ウズラに対応した指針の早期策定
 A焼却・埋却処理した家きん・卵の評価額の全額を手当金とするように制度を拡充
 B発生農家の休業期間中の収入補てん制度の創設
 C移動自粛によって売り上げ減少などの影響を受けた農家への助成制度の拡充
 D防疫措置によって農作物に被害を受けた周辺農家への補償措置の創設
 E風評被害防止の指導の徹底
 F発生に伴い、県や市町村が実施した諸対策に要した費用への財政措置。

 また、佐原豊橋市長は「このままでは日本一のうずら産地である豊橋市からウズラがいなくなってしまう」とウズラ卵の燻製を持参して窮状を訴えた。

●移動禁止区域内のアイガモ農家の窮状

 15日の午前中、アイガモ農場の肉処理工場で移動禁止規制に苦慮している窮状を経営者から丁寧にお聞きした。

 アイガモ農場では1ロット1000羽を約30万円で関西方面から仕入れ、約2ヶ月かけて肥育し、肉処理して出荷するという。東京・関西の高級料亭では3,800円前後/`で購入しているという。丁寧に羽毛を抜くために蝋(ろう)を使った家内工業でなされている。
 3例の鳥インフルの発覚で次々と移動禁止となり、国や県からは移動を許可する条件に「羽毛を散らかすな、一つ一つの処理工程を同じ人間でやるな、作業する人と人の接触を避けよ・・・」などの条件をつけられていては「仕事をやるな」といわれているのと同じだと憤懣やるかたない。

●市議会の陳情活動も検討

 昼に休日中の市役所のエレベーターの中で市長とバッタリ。「農水大臣への陳情はどうでしたか」と聞くと「大臣は鳥取での鳥インフルエンザの経験があるので、よく分かっていただけたと思う。ただ前例がないウズラだけに、判断に苦慮されている様子」と今後の国の対応に期待を寄せながらも、出口が見えない対応に眉間にしわを寄せた。

 現在、豊橋市議会最終日の3月26日に「高原性鳥インフルエンザ対策に関する意見書案」が各派で検討されており、議決した意見書を豊橋市議会として直接届けようとの声が出ている。

 以上、現場からの第6報です。