伊藤ひであきの現場報告 豊橋の鳥インフルD
農水省はウズラをつぶすつもりか!(3/11)

●給食でウズラ復活、市役所食堂でも

 豊橋市内の小中学校の給食で、中華風の春雨スープにウズラのゆで卵を入れたメニューが配食された。先月27日に高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認されて以来初めてのこと。 給食課長も「混乱が起きないように保護者にも通知した。今のところ問い合わせはない。早く正常化してほしい」とウズラ組合とひと悶着あっただけに祈る思い。

 また、ウズラ卵の安全性をPRする目的で、市役所地下食堂では豊橋産ウズラ卵を使ったメニュー7種を提供した。昼過ぎに、佐原市長、加藤副市長ともどもたくさんのテレビや報道カメラに囲まれて「うずら串フライ」と「八宝菜丼」を食した。緊張していて、「伊藤さん、もっとおいしそうな顔してよ」と記者に催促されてしまった。

 市内では先月27日に高病原性鳥インフルエンザに感染したウズラが確認されて以来、多くの食品スーパーや飲食店からウズラ卵が姿を消したまま、まだ戻っていない。

●遂に3例目の鳥インフルに茫然。

 愛知県は10日、市内杉山町の農場からも新たに高病原性鳥インフルエンザウイルスを検出したと発表。今までと同じA型インフルエンザのH7亜型。直ちに農場から半径5キロ以内を移動制限区域に指定した、近く農場のウズラ11万羽はすべて殺処分する。  新たに発生が確認された農場は、2例目のウイルスが検出された農場が移動制限前にヒナを出荷した農家3戸のうちの1戸だった。抗体検査の段階では陰性だったが、動物衛生研究所(茨城県つくば市)のウイルス分離検査で陽性反応が確認され、あわせてウイルスの型も判明した。
 3例目の農場は豊橋市南西部、田原市との市境にほど近い場所にある。周辺は豚舎などのほか、キャベツ畑などが広がる畜産・畑作地帯で、周辺に住宅はない。半径5`に隣接する田原市の養鶏場もあり、豊橋市の問題だけではなくなってきた。

 10日の夕方、議長室に副市長が善後策を報告に来たが、疲れはありあり。

●ウズラは日本から消えるかもしれない

 またこの日、2例目の農場で殺処分したウズラ20万羽の埋却処分が始まった。これで処分羽数は49万羽。さらに3例目の11万羽の処分が決まった。合わせれば60万羽となり、市内で飼われている460万羽の15%になる。

 関係者への説明がないまま調査が行われ、殺処分、埋却の繰り返し。こうした処分は、家畜伝染病予防法に基づいて「執行」されるだけで、ウズラ農家へのきちんとした説明はなされていない。「法に基づいた措置を行うので納得してほしい」の1点張り。なぜ危険なのかとする説明が一切ない。将来、新型インフルエンザを引き起こす可能性のあるウイルスというだけで大量処分を繰り返す。当然、うずら関係者や市民からは怒りが沸騰している。「農水省は豊橋のウズラをつぶすつもりか!」

 農水省は過去に感染した疑いを示す抗体陽性の反応が出た市内5戸と隣県の静岡県湖西市のウズラ農家でも抗体がH7型かどうかを検査する事も決めた。もしも確認されればさらに広がり、県もまたぐ。
 また農水省は10日までに、各都道府県に指示し、すべてのウズラ農場で立ち入り検査をすることを決めた。愛知県では35戸が対象となる。調査が強化されることで今後、第4、第5の発生例が出る可能性も高い。

 夕方、訪問した党員さんは、家禽類の飼料の営業マンで「ウズラは野鳥なんやから、何を考えてるんや。仕事にならん」と憤懣やる方ない思いを延々とお聞きする羽目になった。

 ウズラ産業は日本から消える日が来るかもしれない。以上、現場からの第5報です。