伊藤ひであきの現場報告 豊橋の鳥インフルC
豊橋のウズラを総力で守れ! (3/6)

●ウズラとともに35年!

 3月5日、全国初の定額給付金が北海道や青森で給付されて、笑顔一杯のニュースが流れている頃、向かい合っているのは、鳥インフルエンザ騒動の豊橋で2件目に発生が確認された農場の経営者。ウズラとともに35年、人生をウズラと共に生きてきた。

 「私のウズラ農場が、豊橋で2件目のH7型に感染しているウズラが確認された。感染措置には従うが、私の農場で豊橋の鳥インフルの終わりにしていただきたい。それだけにしっかり分析し、研究してもらいたい。
 ウズラの血液だけでなく、卵の分析、糞の分析・・科学的にしっかり研究して原因を徹底的に明確にしてもらいたい。なぜニワトリヤ、アイガモからは検出されずに、ウズラから検出されるのか。渡り鳥などが運んでくるというが、渡り鳥はウズラ農場の上だけを飛んでくるのではないはずだ。野鳥からの感染はまず考えられない。現に私の農場は野鳥が侵入しないように窓や、隙間は一切ない。

 ウズラは一日に1個の卵を産み、その卵を生産者は一個3円から5円で業者に渡す。そしてほぼ一年で殺され、有機肥料として活用される。ウズラは孵化してから大体60日から90日の間に、このような感染する事があり、合併症を防止するためにワクチンなどを投与する。そのことによりウィルスが分離され体内に抗体ができる。だからウズラ業者はこういう病気とは共有・共生しているのが実態だ」と35年のウズラ飼育の経験の重みが説得力を増す。

●豊橋のウズラ産業をつぶすな!

 「消費者があって、生産者があり、それをバックアップするのが国であり、家畜保健行政だと思っている。そして産業としての豊橋のウズラを残してもらいたい。世界中で家禽として初めて認めた日本のウズラを残してもらいたい。そのためであるならば私はどんなことでも協力する。杓子定規に決め付けて、殺処分、埋却一辺倒でなく、検体が現場にはあるのだから、徹底的に調査してもらいたい」。

 そして、また「学者が弱毒性のあるウィルスも変位を繰り返すと強毒に変わっていくなどという、根も葉もない学説だけで判断しないで欲しい。テクノロジーだけにこだわって、この事件を考えていくのは、はなはだ疑問だ。  ウズラは野生種を交配してつくったので、同じ家禽でもニワトリとは違う。それなのにニワトリと同じ物差で考える事はどうなのか」と怒りも隠さない。

 手塩にかけた27万羽のうずらが、5日の夕方からは殺処分に入る。胸中、どれほどのものか、想像を絶する。時に手が震え、時に流れる涙が辛い。

●体を張って豊橋のウズラを守れ!

 6日、再開された豊橋市議会2日目の代表質問で、会派代表の3人が鳥インフルエンザ問題を取り上げたが、微妙な段階だけに突っ込んだ質問とはならなかったが、市長の答弁は概要、次の通り。
 「高病原性鳥インフルエンザの発生による農家を始めとする、関係団体などの精神的負担、経済的損失は計り知れないものがあると考えています。市と致しましてもでき得る限り、これらの農家を支援してまいりたい」。

 休憩時に市長と会う機会があったので「豊橋の農業、その一角を担うウズラが瀕死の重態に陥っている。体を張って懸命にリーダーシップを発揮して、断じて豊橋のウズラを守っていただきたい」と申し入れた。

 本会議終了後、各派代表者会議。「2件目のウズラ農場の殺処分されたウズラ等を発生農場に隣接する市有地(廃棄物最終処分場に隣接する未利用地)に埋却する事に理解と協力をお願いしたい」と要請があった。

 明日は農水省の大学教授ら専門家による疫学調査チームが、現地入りし発生状況などを調査する。

 以上、現地からの第四報です。