伊藤ひであきの現場報告 豊橋の鳥インフルA
被害を最小限へ懸命な努力続く (3/1)

●早くても移動解除は3週間

 豊橋市南部の養鶉(じゅん)農場のウズラから検出されたH7亜型鳥インフルエンザウイルスが弱毒タイプという事もあって、当初移動制限区域は半径10キロ以内だったのが27日夜、5キロ以内に縮小された。それでも区域内にはウズラ農家8戸、それ以外に15戸がニワトリや、アイガモなどを飼育している家禽農家があり、農家一戸につき十羽を選び、ウイルスの有無を調べる検査を実施するという。その後、3週間観察し、他の感染がなければ半径5`以内の移動制限が解除される。

●「安心して消費して欲しい」と知事も懸命

 28日昼には、神田愛知県知事と佐原豊橋市長が現地を訪れた。「1日でも早く解決するよう努力してください」と指示し、農場だけでなく、半径5`以内の移動制限区域の養鶉・養鶏場の迅速な調査。当然ながら、タマゴや肉の出荷ができず、農家の経営を圧迫しかねないからだ。

 また、知事や市長は「卵や肉を食べて鳥から人へ感染したという報告はない。県民のみなさんには安心して消費してほしいように訴えてほしい」とマスコミ各社に切望したと、取材に行った地元記者が伝えてくれた。

●地域住民からは「早く、終結を!」

 28日夜には、農場に近い神社の社務所で、緊急住民説明会が開かれた。地域住民からは「何でこんな事に」「早く終結させてほしい」など、不安や、いらだちなどの声があがった。
 集まったのは約100人、周辺の160世帯を対象に自治会組織の緊急回覧板で徹底したという。説明会は、鳥インフルエンザ防疫対策部会の担当者が質問に答えた。
 住民から「ウズラの安全性に問題ないといいながら、なぜ、農場で、殺処分しなければならないのか」、「埋却後、周辺に影響はないのか」、「終結のメドはいつなのか」などの質問が出たという。

●念のための検査で特定された

 1日昼、毎年3月の第一日曜日に行われる市役所前の市民広場での市消防団観閲式終了後、市役所の農政課へ。5人の職員が善後策に追われていた。「私たちは、すべての情報を開示して、取組んでいます」と課長補佐。

 25日に県が実施したモニタリング調査で、10羽のうち2羽から陽性反応が出た、岡崎、そして横浜での遺伝子検査、ウィルス検査でも陽性だったので、ひとまず安心したのに、念のためにと持ち込んだ筑波の動物衛生検査所検査で27日の深夜に高病原性のH7亜型と特定されたという。一緒に行った宮澤佐知子議員は所管の環境経済委員長でもあり、今日までの経過を克明に聞きだしていた。

●「何も悪い事していないのに!」

 農場ではウズラの殺処分が午後から始まった。ビニール袋にウズラを入れて、ボンベから炭酸ガスを注入すれば一瞬で死ぬという。それでも対象なのは約26万羽。そして鶏舎の前の畑に埋却するという。そこには保険が支払われ約8割分は補填されるという。

 昼のテレビでウィルスが検出された飼育場の経営者が「一匹も死んでいないのに、なぜ元気なウズラが全部処分されるのか」という怒りの声が流れた。「私たちは何も悪い事はしていない。一生懸命に働いてきたのに・・」という奥さんの悲痛な声も・・・。

●風評被害に、市給食キャンセルの追い討ち

 豊橋市養鶉農業協同組合では、取引先からのキャンセルが続き、出荷作業はストップしたまま。NHKは1時間毎の定時ニュースに必ず「鳥インフルエンザが発見された愛知県豊橋市では・・」と流し続ける。ダメージは大きい。

 そのダメージに追い討ちをかけるように、とんでもない情報が入ってきた。豊橋市内74校25,000人の給食を賄っている豊橋市学校給食協会が2月27日の夕方に3月の給食に使用する予定のうずら卵をキャンセルする旨を養鶉農協に連絡したことが明らかになってきた。月末、月初をまたいだ事件に思わぬ死角があった。

 風評被害を増幅させるような市の取り組みがマスコミの餌食となり、夕方のニュースではそのテンヤワンヤが報道されていた。
 被害を最小限に食い止めようと懸命な努力が続く中で「なにをしとるじゃ!」

 以上、現地からの第二報とします。