地方政治クリエイト 14/07竹島水族館

職員の手作りとアイデアで差別化

 今から、57年前の昭和31年に開設された竹島水族館。全国でも1位、2位を争う「建物の古さ」のこの水族館がこの3年間20万人を超えるまでに転じた背景には何があるのか。

 7月4日、蒲郡市内のホテルで行われた「東三河午さん会」で館長の安藤隆充氏が「地方都市の水族館が生き残るための戦略」と題し講演した。

 日本の水族館の設置は昭和30年前後、同50年前後そして平成10年前後の3回の建設ブームがあって、昭和の時代に作られた水族館のほとんどは改修工事が完了し、平成の時代に作られた都市型水族館は大規模化してきたのが水族館の歴史。

 竹島水族館は平成2年頃のバブル景気を境に入館者数は減少に転じ、平成9年からは年間15万人前後で推移し、市役所や議会からは「閉館」の声も聞かれるようになった。
 「レジャーの多様化による競争社会の中で、一地方都市が水族館を維持し、存続していくためにはどのような生き残り戦略があるのかと飼育員を始め全職員で考えた」と言う。

 そうした中で平成23年3月に施設の老朽化による改修工事にあわせて「生き物にさわれる―さわりん水槽」を新設したことが入館者数大幅アップの引き金となった。このことを契機に「職場の風通しを良くする―若い職員の斬新な意見を取り入れる環境づくりに心がけ、そのために何を、どのようにするのかを皆で考え、やれることはすぐ実践してきました」と館長。

 生き物側から見た手作りの解説板や掲示物看板、エサやり体験プール、まったりコーナーなど裏方の飼育員をどんどん表に出して、「魚ばかり見ていないで、時間が許すかぎり館内に出てお客さんと話そう」と客との距離の近さを売りに都市型水族館との差別化を図ってきた。

 またメディアに取り上げていただける企画やイベントを開催して、しつこい情報発信にもこころがけ、「おもてなしの心で満足して帰ってもらうためにはどうすればよいのかを第一義に取り組み、リピーターの増加に貢献できました。
 これからも、観光蒲郡に誇れる施設であるように、東三河の財産として活用いただけるように取り組んでまいります」ときっぱり。


 外観は「しょぼい水族館」が生き残るために館長中心に若い職員の発想と手作りで盛り返している姿に、これからの都市経営のあり方を教えられた。
 それにしても竹島遊園の整備された景観に比べ、水族館が入る建物の正面は空き店舗、閉まったシャッター、無造作な看板に飲食店・・、何とかならないのか。


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