伊藤ひであきの地方からの提言


08春 今こそ大局からの真摯な国会審議を      2008.04.06

●不毛な対立のまま政治が動かない!

 新しい年度が始まったが、 政治が動かない。国政では未だ見聞したことがない異常な対立が続いている。国も地方も新年度予算は成立したものの、その裏づけとなる歳入にはぽっかりと大きな穴があいたままです。30年以上も続いたガソリンの暫定税率が、政府・与党の方針に反してなくなってしまい、ガソリンの値段が下がりました。

 与党側は、暫定税率を維持することが国民生活のためになるといい、民主党などは、暫定税率を廃止することこそ国民の生活を守ることになると向き合っています。同じ国民のためと言いながら、意味するところは正反対です。どちらも自分の主張を譲らず、いたずらに対立ばかりが続く状態です。

●これは政治の怠慢であり、漂流である!

 この状況は取りも直さず、昨夏の参院選で民主党が大勝し、野党が過半数を握った。衆院の政権は自公、参院の政権は民主党、この「ねじれ」がこの8カ月、政治は機能不全状態を生み出し、国民は「ねじれ政治」にヘキヘキし、政治不信を増長していることを示しています。

 今や、日本の政治は過渡期にあり、「ねじれ」による混乱は同時に新たなる政治を生み出す胎動でもあるかもしれないと、この8ヶ月、国民は目を凝らしてきました。衆院と参院が「国民のための政治」「未来に責任をもつ政治」に向かって「新たな時代の国のかたち」を競い合うのであれば、大いに期待すべき「ねじれ」だったかもしれません。
 しかし、与野党がぶつかりあうだけで、結果は、国民生活や地方の行財政を混乱に陥れ、国際社会の日本の立場を地に落とす、国民不在の「政治の怠慢」「政治の漂流」以外の何ものでもありません。

●大所からの真摯な議論を今こそ!

 道路財源には二つの問題があると思います。一つは道路利用者にどれだけの負担を求めるべきかという問題です。暫定税率を廃止すべきかどうかという争点はこれにあたります。しかし、道路利用者は燃料税だけでなく、高速道路料金なども負担しているのであり、これらとの関係も重要です。
 もう一つは集めた税源をどう使うかという問題です。一般財源にするのか、特定財源にするのかという問題に加えて、都市と地方の配分をどうするかという問題もあります。  こういった時こそ、「道路という社会資本の費用負担」についての冷静な分析に基づく、真摯なかつ真剣な議論が必要なはずです。

 道路だけではありません。「後期高齢者医療制度」は対象がほとんど年金暮らしの75歳以上のお年寄りだけに、保険証は届きましたが、保険料が知らされぬままスタートしたことが、混乱に拍車をかけています。 また「高齢期における適切な医療の確保を図るため」の制度の目的が、窓口での本人負担は1割と今までと変わらないのに、かかりつけ医に支払われる上限額が一ヶ月6千円と決められたことにより「医療費を抑えることに主眼が置かれている」ように見えて、「安心して医療が受けられるのか」という不安が増長されていることにあります。

 ここでも「長生きしてよかったと安心できる持続可能な医療制度」についての懸命な議論と説明責任が問われています。


 国会は今こそ、正論欠く政局一辺倒の国会運営から脱却し、この国のあるべき姿を追求する間断なき持続的対話の場として改革し、新たな政治を創造していく作業に入るべきです。


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