伊藤ひであきの地方からの提言


06論点 子ども医療費助成拡大、されど      2008.02.27

●子どもの医療費の助成対象拡大

 昨年の統一選の前哨戦であった愛知県知事選で辛勝した、自公推薦の神田知事のマニフェスト、またそれを支える公明党県議団の皆様の努力もあり、愛知県では来年度(4月からの)子ども医療費の拡大方針を受け、県下各地で新年度予算案に盛り込まれてきています。

 岡崎市、豊田市や、刈谷市、安城市、田原市などは「未就学児まで」としていた通院・入院費を「中学卒業まで」と一気に拡大します。  いずれも自動車産業が立地している自治体の税収の伸びが追い風となって「元気な愛知」の証でもあります。

 豊橋市でも現行の通院・入院ともに就学前までの医療費無料化が、この4月から通院は小学校3年生まで、入院は中学校3年生まで助成対象を拡大する。公明党豊橋市議団が昨年11月の「新年度予算要望」や12月議会一般質問で強く要請し、前向き答弁を得たものである。
 これにより、19年度対象人数24,200人が35,360人に、医療助成費予算19年度10億1000万円が20年度12億2800万円に増額される。

●限られた財源の中で

 しかし、拡大の動きに異論を唱える関係者も少なくない。国の医療制度改革の流れで、3歳未満を対象としている乳幼児の負担軽減措置(2割負担)が新年度から小学入学前まで拡大されます。さらに、県負担が拡大されることになります。しかし、その分だけでは足りないから、その上乗せ部分は独自の財源を確保しなければならないし、福祉は一旦拡大すると縮小しにくいという側面もあります。

 そうした動きの中で「県に追随しない」という愛知県一色町(町長はかって参院選愛知選挙区補欠選挙で「改革」の旗の下で参議院議員になった都築 譲氏)。「県の助成を受けないと、逆に町の負担は大きくなる。しかし、医療費無料化を拡大すれば、過剰診療にもつながる。町民の自己負担は残したい」と。

 12月の一色町議会で「新年度には近隣市町との比較で我が町は通院で最低クラスになると思われる。子育て世帯の不満の声をどう考えるか」との質問に都築町長は「限られた財源の中で、多くの人の幸せを現在も将来も追求していける環境をつくることが政治の責任である」(「一色町議会だより」より)と答えている。

 この考えは一理ある。傾聴に値するまちづくり理念であると私は思う。

●根本問題はそのまま

 長瀬保険数理学者の「患者負担の見直しが医療費総額に影響を与える」といういわゆる「長瀬効果」によれば、「給付を7割から10割にすると、医療費は30%から50%拡大する」という。

 また、豊橋市でも医師不足は深刻で豊橋市民病院の小児外科の外来診療は週2日に縮小されているし、平成13年には市内の病院の小児科は12あったが、現時点では8病院にしかない。子ども医療費無料化の拡大が「病院のコンビニ化」をもたらし、そして「小児科医不足」に拍車をかけることもありうる。

 医療費抑制、医師不足問題、特に小児科医・・・、根本問題は何一つ解決されていかないことは事実である。


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