伊藤ひであきの地方からの提言


06論点 地域包括支援センターってなんだ      2006.02.21

●包括の意味するもの

 経過措置はあるものの、多くの市町村で4月から地域包括支援センターが設置されます。このセンターこそ、地域の社会資源を総合的に活用したマネージメントを行う、中立・公正な拠点であり、予防マネージメントの核であり、ケアマネージャーにとってはそのバックアップを果たす地域ケアを総合的に支援する機関と位置づけられている。

 ここには保健師、社会福祉士、主任ケアマネージャーが配置され三職種によるチームアプローチで地域を支えることが期待されています。とはいえ、その設置形態は市町村によって異なります。

 豊橋市の場合、主な実施内容は
@高齢者の支援に関する総合相談の実施、また高齢者の虐待防止及び権利擁護
A要介護状態になることの予防及び要介護状態の悪化防止の対応
B高齢者が地域で継続的に生活できるよう主治医、ケアマネージャーなどと協力し長期的に支援
として、市内に16ヶ所設置する予定です。

●大事なのは「福祉は人」

 これらの機能をどのようにしたら発揮できるのか、地域に根ざした地域包括支援センターになるために、なにがポイントなのか。

 ただ単に三職種を窓口に置き、4つの機能の一つ一つを別個にとらえていては、地域包括支援センターにはならない。いかに三職種がチームアプローチで取組んでいくのか、利用者はもとより地域の様々な団体や人々−例えば民生委員、医師会、サービス事業者、ボランティアなどが集まるような仕掛け作りがなされるかどうか。

 そのために最も重要なのはさまざまな事業者や団体に対して指導力を持って地域全体をまとめていく力があるかどうか。そのためには優れた人材をいかに確保するのか−地域包括支援センターには一番大事なことではないだろうか。まさに「福祉は人なり」である。

 そして、介護保険の目的である、個々の利用者が在宅生活を少しでも長く続けられるといった拠点にしていくことができるかどうか。その意味で地域包括支援センターの活動は「地域福祉」そのものであり「街づくり」そのものであるかもしれない。

●在宅介護支援センターとの関係

 ここで気になるのは従来の在宅介護支援センターはどうなるかということ。「老人福祉法」に定められている老人介護支援センターとしての位置づけは存続されているし、居宅介護支援事業所としての指定も受けているのだから、その名称も事業も引き続き実施していくことになる。

 鳴り物入りでスタートする地域包括支援センターであるが、それは決して介護予防だけの中核機関ではないはず。地域の高齢者にその状態に応じた様々なサービスを切れ目なく提供するための地域包括支援センターでなければならない。そのためには地域実践を積み重ねてきた在宅介護支援センターとの連携なくして成り立たないのではないだろうか。


ホームページに戻る