伊藤ひであきの地方からの提言


05夏 天下分け目の桶狭間、いざ      2005.08.17

●これは桶狭間か!

 1560年,今川義元は3万の軍勢をひきいて京都へ上ろうとして,信長を攻めたが,信長は尾張の桶狭間の田楽狭間に3000の兵で奇襲し,義元をたおした。 そして、この桶狭間の戦いが信長にとってうつけで終わるか天下を取るかの分岐点であり信長の天下統一のきっかけとなった。

 あれから、450年。小泉は伝家の宝刀を抜いた。郵政関連法案が否決されるや、鬼となって、衆議院解散・総選挙という正面突破を図って駆け抜けようとする。反逆者には鬼となって刺客を送り込む。下野を覚悟の正面突破である。変人なのか、英雄なのか。

 8月9日、解散の翌朝。私は豊橋駅前に走った。民主党よりも、共産党よりも、もちろん自民党よりも早く公明党の旗を立てて叫んだ。(公明党議員になって18年、衆議院解散のたびに繰り返してきた私の習性である)

「営々として築かれてきた日本の社会システムは、こうした時代の荒波に押し寄せられ、揺さぶられなければ世界に通用する日本に再生できないのかもしれません。そして、政局混迷の中で公明党がしっかりしなければ政治の安定は望めない、日本の新しい時代の扉は開かれないことを声を大にして訴えます」と。

●自公過半数の鍵は37人の刺客!

 決戦の全体像を明確にしておこう。衆議院の定数は480.小選挙区制で当選するのは300名。比例代表制で当選するのは180名。過半数は240である。解散前勢力は自民249、公明34であり、自公合計283で過半数を43超えている。そして野党は民主175、共産9、社民6、自由連合1、無所属3、欠員3であった。

 問題は衆議院で郵政民営化に反対した自民党議員37人の選挙である。この人たちは2年前の衆議院選で小選挙区で当選しようが、比例ブロックで当選しようが、今回は公認されないのだから、無所属で、あるいは国民新党で小選挙区から立候補する以外にない。
 ここに小泉は改革推進のために刺客を送りこむ。民主×自民の刺客×自民の造反者という東京10区のような構図の小選挙区がいくつもできる。ここで最も肝心なのは自民の刺客が民主に漁夫の利をさらわれることなく完勝しなければならないということだ。

 でなければ、よしんば過半数をとったとしても総選挙後の郵政民営化関連法案の可決のためには、構成の変わらない参議院の反対者を賛成に寝返らせるだけの吸引力を示さなければならないのです。

 逆にこの37選挙区でことごとく民主にもっていかれたら、自公過半数は不可能の公算があまりにも大きい。

●日本の分岐点!

 この桶狭間の戦いは小泉構造改革への審判ではない。今回の決戦は日本が本当の資本主義社会にむかって大きく脱皮できるのか、依然として官僚内閣制を続けていくのかの大きな分かれ目である。
 郵政民営化も今、成立させなければ、あと何十年たっても民営化などできないだろう。とてつもなく非効率な公社組織と規律なき金の使用法は改められないだろう。
 営々として築かれてきた日本の社会システムのその官営主導の構造をぶっ壊す奇襲攻撃である。その象徴的なシンボルが郵政民営化だ。
 もう一度書く。郵政事業職員の年収は640万円という。米国郵政公社は500万円、ヤマト運輸は450万円という。特定郵便局長の年収は1000万円を超える人もいて、その上に局舎を500万円で借上げてもらっているから、年収では村長さんをはるかに上回る。こういう高賃金体質だから、変わりたくないのだ。
 よって日本の郵便料金(封書)は80円、フランス45円、イギリス41円、アメリカ36円なんだ。 この現実を知っているか。

 とにかく、うだるような暑さの中で天下分け目の短期決戦に突入したのだ。どの政党も準備不足、戦略不足のまま一気に駆け抜ける以外にないのです。それにこの猛暑。エネルギーが何倍も必要なのです。

かくして、平成の桶狭間の奇襲攻撃の幕は上がった。


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