伊藤ひであきの地方からの提言


05春 右手に「鍬」を、左手に「算盤」を!      2005.04.02

●子どもの学力低下

 文部科学省は2月11日、2004年度版「文部科学白書」を発表し、児童生徒の学力低下について、「読解力が低下傾向にあるなど、世界のトップレベルとはいえない」と明記した。
 教育の現状については、都市化や少子化の進展による家庭や地域社会の教育力の低下、青少年の社会性、規範意識や道徳心の低下などの課題を列挙。「教育に対する信頼が揺らいでいる」との認識を示し、学校、家庭、地域を含めた社会全体での教育改革の必要性を指摘している。

 さてどうするか。

●団塊の世代の教育環境

 ふと、「団塊の世代」の己が少年時代を思い出す。あのころ小学、中学時代校舎も教師も足りない。そのため体育館を四つに仕切ってのすし詰め教室で、代用教員の授業を受けた。その意味で団塊の世代は最悪の教育を受けたことになります。
 ところが戦後世代でおそらく最高の学力を備えたのはこの団塊の世代でしょう。高校進学率、大学進学率も、団塊の世代から急上昇を始めた。

●働きながら学べ

 そして、二つだけ、その当時に合って、今ないものがあります。一つは二宮尊徳像。もう一つは算盤です。

 働きながら学ぶから二宮尊徳は背中にたきぎ(労働)、手に書物(学)なのです。勉強の原点は「働きながら学ぶ」これだと思うのは働きながら通信教育で大学卒業資格を取った私のこだわりでしょうか。
 戦中にすでに午前中は学び、午後は働く「半日学校制度」を提唱した教育者もいる。曰く「半日学校制度の根本儀を要約すれば、学習を生活の準備とするのでなく、学習生活中で実際生活も、実際生活の中において学習生活をなさしめつつ、一生を通じ、修養に努めしめる(生涯学習)ように仕向ける意味である」
 すなわち、働きながら学ぶことこそ、最も適切な環境条件と結論されたのです。

 小中学校での労働体験の拡大こそ教育の復権のキーポイントでないか。

 豊橋は日本一の農業都市でありながら、農用地の1割が遊休農地である。この農地を使って小中学生が農業体験でなく、農業そのものに取り組んだらどうか。午前中は学校、昼から田畑、農業教育特区は考えられないか!

●そろばんの暗算力

 もうひとつは算盤です。何もない田舎でただひとつブームのように広がった塾がありました。「そろばん塾」です。

 今や、世界のトップレベルといわれるインドの若者は99×99ができるけど、日本の子どもは9×9すなわち九九しかできないといいます。  算盤がもたらす計算力、なによりの暗算力こそ団塊の世代を一つの時代を創りえた最大の武器であると確信する。算盤が消えて、計算機になり、パソコンが普及したのと学力の低下の相関性を叫ぶ学者もいる。

 「パチパチ」とはじく算盤の音は人間教育の象徴ではないかと考える。

 教育の復権を叫ぶ声は多い。しかし、抽象論では現状は変わらない。
 右手に「鍬」を、左手に「算盤」をそして、思い切って豊橋の教育に変革の波を!


ホームページに戻る