伊藤ひであきの地方からの提言


05新春 「郵政民営化の論点整理」      2005.01.23

●小泉改革の本丸

 いわゆる、郵便、郵貯(郵便貯金)、簡保(簡易保険)の郵政3事業を民営化するのか それとも現在のように40万人の職員(公務員)をかかえ、国民のみえざる負担(約1兆1000億円、1世帯あたり約2万3000円と試算されています)を財源に国営で独立採算性の日本郵政公社のままいくのか。
 小泉首相は「郵政民営化は単なる郵政省との戦いではない小泉改革の本丸なのである」と位置づける郵政民営化をめぐる議論が、1月21日召集の通常国会の中で本格的な論議が行われようとしています。そのための「郵政民営化法案」の攻防戦が行われています。

●ポイントは3点

 攻防のポイントは、(1)なぜ民営化が必要なのか、(2)ユニバーサルサービス(全国均一化サービス)を法律で義務づけるかどうか、(3)経営形態をどうするか――の3点に絞られています。

 そもそもなぜ民営化なのかという議論が蒸し返されたのは、日本郵政公社が2003年度に2兆5000億円余の経常利益をあげたことにあります。
 この結果、郵便事業の巨額の赤字解消を目的とした郵政民営化、とりわけその原因である過疎地や離島など全国どこでも一律の条件でサービスを受けられる現状のどこが不都合なのか、という意見が、自民党内や関係者の間で再び台頭してきたのです。

●族議員の思惑

 この背景にはもちろん、全国に2万4700ある郵便局(うち6割が特定郵便局)を集票の基盤にしている郵政族議員らが、特定郵便局の統廃合を阻止したいという思惑があります。
 これに対し、民営化推進側は、「民間に任せればもっといいサービスが展開できる」(小泉首相)メリットや、法人税などが免除され、国民が間接的に負担している「見えない国民負担」が最小化されるというプラス面を強調しています。

●ユニバーサルサービスの義務づけ

 ユニバーサルサービスとは、たとえば郵便なら、全国に同一の料金体系で郵送されるよう法律で義務づけられていることを指します。
 現在、郵政公社は郵貯、簡保も郵便同様の扱いをしています。しかし、民営化推進側は、郵貯、簡保のサービスは、民間金融機関で十分代替できるので義務づける必要はないとの立場です。
 また、赤字の見込まれる郵便窓口業務については、別に切り離し、窓口ネットワーク会社として独立させ、生命保険など金融商品を同時に扱うことで手数料収入など利益をあげればよいとしています。

 しかし、郵便の集配を行わず、郵貯、簡保が主力の特定郵便局にとっては、郵貯、簡保が法律の義務づけから外れることは、不採算の郵便局と位置づけられて統廃合を迫られる可能性が高く死活問題です。このため、反対派は法律の義務づけの維持を主張しています。

 経営形態については、持ち株会社をつくり、その傘下に郵便、郵貯、簡保を置いて事実上経営を一体化するか、窓口ネットワーク会社を含め、機能別の独立した4つの会社にするかが争点です。

 このほか、民営化後の郵貯、簡保合わせて350兆円という巨額資金の取り扱いは、新旧勘定にどう分けるか、さらに、郵貯、簡保資金による国債の大量購入分をどう処理するのか、民営化後の職員の身分の扱いを「みなし公務員」とするのか、また新会社の地域分割を認めるのか――といった点も議論されています。

●私の態度

 郵政民営化には私は基本的には賛成、ただし、全国2万4千ヶ所に上る郵便局ネットワークは利用者、国民の視点からサービスは低下させない。視聴覚障害者用郵便物の無料化など社会福祉の増進に寄与するサービスは継続させるという条件をつけてです。


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