伊藤ひであきの地方からの報告


04秋 小泉政権は生きのびるか      2004.09.25

 9月24日昼、豊橋駅のホテル「アソシア豊橋」での東愛知サロン会(愛知県東三河地方の地域新聞―東愛知新聞社が主催する文化講演会)に政治評論家―森田 実氏が来豊、約200人の参加者を前に激動の政局の秋を語った。以下はその話の要約。

○組閣のポイントは安倍と公明

 組閣人事が噂される中でのポイントは安倍氏と公明党。小泉首相は参院選での責任を取り辞意を表明している安倍幹事長の辞任を了承する方向で固まっている。
 しかし、小泉と一定の距離を置き、「野に下り」3年後の衆参同時選挙で安倍総裁誕生をもくろむのが安倍氏の周辺であり、安倍氏の周辺には抵抗勢力といわれる人が続々と集まってきている。その動きが一番怖いのは小泉首相。よって、安倍氏を主要ポストにつけようとするが、首をたてに振るのかどうかがポイント
 参院青木派からは西田、尾辻が入閣するだろう。ポストはどこでもいいというのが青木派。
 公明からは北側氏。この数年の間に公明党は強くなった。強くなりすぎた面もある。昨秋の衆院選、今夏の参院選、ともに自民党が負けるのを防いだのが公明党であることは明白。今や公明党が政権の中枢を担っている。とりもなおさずこういう状況を作ったのは、公明党の選挙の威力。だから、入閣を予想される北側さんが何になりたいかは公明党が決めてくる。国土交通相か経済産業相への起用を希望しているらしい。

 いづれにしても27日中には内閣改造が行われるスケジュールで動いているが「安倍氏と公明で組閣は終わり」。

○財務省と総務省がポイント

 今までは、歳出を考えていればよかったが、今は歳入を考えなければならない。この2年間だけでも52兆円から48兆円と歳入が激減している。
 毎年3兆円づつ歳入が減っている深刻な事態に他人事のような雰囲気が国会にはある。このことがもっと深刻。

 総務省は三位一体改革をやり抜こうとしている。いうまでもなく三位一体改革は「補助金は削減します。交付税も縮減します。税源は2割カットしますが地方に移譲します」というのが基本の考え。よって、8月18.19日のあの徹夜の論争をした全国知事会も2割カットされても地方が自由に使えるならばいいとまとめ上げて、総務省に要望してきた。
 しかし、この決定権は財務省にあると財務省は譲らない。この綱引きの中で税源移譲については結論が出ていないのが現実。
 そのあおりを受けて町と村、小規模市は深刻。来年の予算を組めない事態ですから。高知県27市町村のうち17市町村は財政が逼迫して緊縮財政も限界に来ている。これが実態。

 ゆえに総務大臣と財務大臣を誰にするかも大きなポイント。総務大臣は福田?という情報もあるが福田は小泉に袂をわかっていて、小泉が群馬に来ても福田は現れなかったのが今夏の参院選。果たして福田は入閣を受けるか、断るか。

○臨時国会を乗り切れるか。

 日本歯科医師会の献金問題も難局だが、イラクの「大量破壊兵器はなかった。もう探すのはやめる」というパウエル国務長官の宣言は衝撃的。
 これに対して、ブッシュは「あろうとなかろうとフセインを捕まえたのだし、イラクはいい方向に向かっているからそれでよかったんだ」という。この論理で小泉首相は臨時国会を乗り切れるかどうか。

 対する岡田民主は明確にイラク戦争反対の立場をとる。民主の中にも自衛隊派遣を容認する動きもあるが、岡田は筋を貫いて反対してきた男。
 蛇足だが、小沢は勘違いしていたのではないか。岡田は強くないと、だから7月に選挙後、岡田をたたいた。その事により急速に小沢の求心力は失せていった。

 もう一つ、臨時国会は経済国会と言われるが、1〜3では経済は回復軌道に乗ったと言われたが、4〜6は△1.4%の成長率。何が違うかといえば設備投資の動きが3月を境に冷え込んでいる。失業率が下がったわけでも、倒産が減ったわけでもない。実体経済は一段と厳しい事への批判がくさうぶっている。その上、予算が組めない市町村が続出で、地方自治体の破綻が始まっていて、経済に与える影響は大きい。

○小泉はもうもたない

 ブッシュとケリーの大統領選も日本の政局に与える影響は大きい。ブッシュが大統領の間は日本の自民党は大丈夫だ。しかし、ケリーが勝ったら、途端に最大の危機に襲われるはず・世論調査では約11ポイントの差があったが、最近のデータでは五分五分、もしくはケリーが数ポイントだがリードしているといいう情報もある。こうした事で来年の通常国会の終盤は日本の政治は大変なことになっているかもしれない。

 こうした経済状況の中で、日本は東京を1G、愛知、神奈川、埼玉など元気な地域と落ち込み瓦解が始まっていく地域と3Gに分かれていくのではないか。日本の一番底辺で瓦解が始まるのは大変なこと。「あなたは地方の側に立つのか」というような切迫した選挙民の行動が出てくると自民党は持たない。
 今夏の参院選の結果から判断しても、どれだけ公明党が応援したとしても、バタバタと自民党が落選するのが次の衆院選。東京、愛知、京都などでは自民党は一人も勝てないというデータが参院選の比例区結果で出ている。
 もはや小泉政権の寿命予測は短くなるばかり。「小泉政権はもうもたない」これが東京では定説。

 以上、講演時のメモから私見を交えずまとめました。

 


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