伊藤ひであきの地方からの提言


公明党のアクセルとブレーキ!      2003.11.14

●公明党への危惧感

 今回の衆議員選挙の結果、「自民、民主は伸び悩み、政局で勝ったのは公明党」(毎日新聞)という評価があるが、このことは『自民党はすでに、公明票という「つっかえ棒」なしに第1党の地位を維持できなくなっている』(毎日新聞)ことを実態として指摘し、その上で「国会運営も公明主導か」(朝日新聞)という危惧感につながっている。

 しかし、公明党の地方議員としてあえていう。そうした力関係を背景に衆参に合計57の議席しか持たない公明党が、結党以来かかげてきた「生活者の政治」、「ヒューマニズムの政治」が21世紀の日本の政治に反映されていくことに何の危惧感が必要であろうか。ましてや、その理念は高邁な宗教理念に裏打ちされているのである。

 このことは「自民党は長い間、政権政党にあり、そういう立場で物事を考えがちになる。しかし、公明党が連立政権に参加してくださり、平和主義とか、国民一人ひとりの考え方を大事にするとか、弱者の観点といった自民党に不足しがちな視点で、国民のニーズを細かく拾い上げてくれている。私は4年間にわたり連合体をつくって、与党を組んでやってきたことは良かったと思う。」(9月30日、衆院テロ防止・イラク支援特別委での福田官房長官答弁)と高く評価している言葉に如実に表れている。

 身近にも今回の選挙中に長年の自民党支持者で地域の有力者から「今の自民党は選挙だけでなく、政策面でも、国政の舵取りの面でも公明党に助けられている。だから比例区は公明党と書かせてもらうよ」という言葉をいただいた。

●時代が新しい政治理念を求めている

 反面、朝日新聞の11月11日付社説「公明党-自民を支えることの意味」に次のようなくだりがある。「政権への参加を重視する余り、政策面での公明党らしさが次々と色あせてきたのではないか。庶民の目線でアクセル役にもブレーキ役にもなる−公明党は自民との連立をそう意味づける。その成果が児童手当や奨学金の拡充ばかりでは情けない。自衛隊のイラク派遣や憲法、教育基本法の改正といった大きな問題をどうするのか」。

 児童手当や奨学金の拡充は、公明党が一貫して生活者の視点にアクセルを踏むからこそ実現できた実績であり、子育てに懸命な若いお母さん達から私たちにも感謝の声が寄せられている。明日を担う若者が奨学金の拡充で嬉々として勉学に励んでいる姿を私たちは身近に知っている。

 他方、公明党は政権与党の中で国家主義的方向性には意を注いでブレーキを踏んでいることは地方から見ていても確信できる。しかし、また有事法制の推進やテロ防止、イラク復興支援など安全保障の面での取り組みには従来の公明党のイメージを塗り替えるものとの指摘が賛否取り交ぜてあることも事実であろう。

 私自身、高校時代の友を訪ねたときも「最近はブレーキが効かなくなってきたのでは」と皮肉交じりに指摘されたこともある。しかし、これは公明党の平和主義が色あせたのでなく、「9・11」以降の世界は「新しい平和主義の確立」に迫られており、日米ともに“一国平和主義”(日本は憲法を盾にわれ関せずの態度、米国は世界の警察官として関与し過ぎの立場)は古い)との基準で理解していく以外にないのではないのではなかろうか。

 時代は新しい政治理念を待望している。私はこの週末、衆院選で止む無く中断していた街頭演説を再開しよう。次の完勝に向けて自信を持って「公明党の政治」を街角で訴えていく決意である。


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